遺言書の作成が必要と思われる方
- 子がいない
- お子様がいない方の相続の場合、その相続人は配偶者と故人の兄弟姉妹となることが珍しくありません。この場合、配偶者が故人の兄弟姉妹と遺産分割協議を行うことは、大変な負担になることも多く、「配偶者が全財産を相続する」等、配偶者の方に配慮した遺言書を作成されることをお勧めいたします。
- 相続人間の仲が悪い
- 遺言書がない場合、相続人間で遺産分割協議書が必要になります。相続人間の仲が悪い場合、裁判手続が必要になることも珍しくありません。余計な揉め事を少しでも減らすためにも、相続人に配慮した遺言書を作成されることをお勧めいたします。
- 先妻との間に子がいる
- 先妻との間のお子様と疎遠になっていたとしても、その方を含む相続人全員で遺産分割協議を行う必要があり、それぞれの思いもあり合意に至らないこともあります。残された相続人に配慮した遺言書を作成されることをお勧めいたします。
- 内縁の妻がいる
- 内縁の妻には相続権がないため、遺言によって財産を遺贈する必要があります。
- 相続人以外に財産を渡したい
- 生前お世話になった方や、各種団体に寄付をしたい等、相続人以外に財産を渡したい場合、遺言により財産を遺贈する必要があります。
遺言書作成についてお困りの方は、お気軽にお問い合せください。
遺言の方式
1.自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、 ご自身で遺言書を作成する遺言書のことです。
遺言書作成の際には、遺言内容に加えて、その様式(作成の要件)に気を配る必要があります。
【作成の際の注意点】
・全文自書すること。(鉛筆不可、パソコン不可)
・日付の記載があること。(○月吉日不可)
・署名捺印があること。(認印でも可)
・財産を明確に記載すること。(不動産は、登記簿どおりの記載が無難)
・訂正は正しくすること。(書き直した方が無難)
・できるだけ封筒に入れること。(秘密保持・変造防止の観点)
(メリット)
・作成費用がかからない。
・いつでも作成できる。
・誰にも見せる必要がないため、秘密が保持できる。
(デメリット)
・法律上の要件に違反している場合は無効となる。
・内容が不明確な場合は、無効になる可能性が高い。
・遺言書が見つからないことや相続人に隠される危険性がある。
・相続人は、家庭裁判所で「検認手続」を行う必要がある。
2.公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証人が、遺言者から遺言内容を聴取し作成する遺言書のことです。
公証人が、法律上有効な遺言書を作成しますので、ご自身は遺言内容にのみに集中いただけます。
(メリット)
・公証人が作成するため、作成要件や内容が不明確であるおそれがない。
・公証役場にも保存されるため偽造・変造等のおそれがない。
・家庭裁判所で「検認手続」をとる必要がない。(すぐに手続を開始できる。)
・公証役場で作成の有無を検索でき、紛失した場合は再発行も可能。
(デメリット)
・公証人の手数料が発生する。
・証人2名が必要。
3.秘密証書遺言
秘密証書遺言とは、あらかじめ作成・封印した遺言書を公証役場に持参して作成する遺言書のことです。
現在、この方法で遺言書が作成されることはないようです。
以上のとおり、各遺言にはそれぞれ長所短所があります。
どの方式がご自身にとって有益な方法であるかをご検討いただくなかで、我々専門家がアドバイス申し上げるとすれば、法律上有効な遺言書が作成でき、さらに相続開始後の手続の利便を考慮した場合、公正証書遺言がベストではないでしょうか。
遺言書作成についてお困りの方は、お気軽にお問い合せください。
遺言の効果(遺留分との関係)
遺言書を残しておくと、その記載内容に基づき相続財産が承継されます。
ただし、遺留分(法律が相続人に最低限度の相続分の定めをおいています。)に反する内容である場合、遺留分を侵害された相続人は、侵害した者に対して、遺留分減殺(げんさい)請求権を行使することができます。
遺留分減殺請求権が行使されると、遺留分に相当する財産を侵害した者は引き渡さなければなりません。このような強い請求権を法律用語で「形成権」といいます。
遺言書を作成する際には、遺留分を考慮した内容を検討されることをお勧めいたします。
※相続人が故人の兄弟姉妹の場合、その方に遺留分はありません。
つまり、故人の配偶者に全財産を相続させる遺言書を作成したとしても、その兄弟姉妹が遺留分を渡すよう配偶者に請求することはできません。